• ARTICLE

カッティングシート×子ども絵画展【前編】

絵画展とのコラボレーション

千葉県市原市で2月22日まで開催中の「第2回市原湖畔美術館 子ども絵画展」では、「いちはら、豊かな未来へ」をテーマに市内の幼稚園児童や小学生に自由に絵を描いてもらい、入選した作品251点を展示しています。その会場構成や関連イベントに、カッティングシートが大きな役割を果たしています。

IMG_0683 2_web▲展覧会ポスター(会場最寄り駅にて)

 

鉄道車両×カッティングシート

展覧会と連動して、市原市を南北に走る小湊鐵道とのコラボレーションも実現しました。小湊鐵道の代名詞ともいえる車両「キハ200形」のひとつが「市原湖畔美術館号」として特別運行したのですが、車窓のデコレーションにカッティングシートが採用されたのです。

IMG_0539_web▲「市原湖畔美術館号」のヘッドマークは小湊鐵道賞受賞作品

IMG_0577_web

IMG_8285_web▲入選作品8点が飾られた特別車両

 
「市原湖畔美術館号」は2月8日までの土日限定で、五井~上総中野間を1日1往復しました。始発の五井駅から乗車すれば、市原湖畔美術館の最寄り高滝までは11駅、所用は40分ほどです。冬の優しい太陽が差し込む窓からは、煙を吐く臨海工業地区の煙突と、さらには富士山も望みつつ、渓谷を越える鉄橋を渡り、沿線に広がるのどかな里山の風景をゆったりと楽しめます。

 
IMG_8340_web

IMG_0627 2_web▲市原の豊かな緑と海、未来の街並をイメージした車窓(デザイン:安西一憲)

 
車窓のデコレーションは計8カ所、市原をイメージしたデザインで、展覧会の会場空間とも連動しています。カッティングシートがつくるシルエットが、昔ながらの木製の床の上に影絵を落としながら走る情景など、車内の写真は中川ケミカルのfacebookにアップしましたので、そちらも是非ご覧ください。

 


▲高滝駅を出発し、養老渓谷方面へ向かう「市原湖畔美術館号」

 

自然に囲まれた美術館

展覧会場の市原湖畔美術館は、晴れた日の眺望がそれは美しく、房総の幸が味わえるレストランや、ミュージアムショップの品揃えも充実しています(会期中は小湊鐵道グッズも販売)
2013年にリニューアルオープンした際のサイン計画にカッティングシートが採用され、「第18回CSデザイン賞」一般部門のグランプリを獲得していますがARTICLE 記事)、今回の協賛はそれとは関係なく、本展の会場構成を担当した安西一憲氏(安西デザインスタジオ)が、2012年開催の国際見本市で中川ケミカルの出展ブースを訪れたことがきっかけでした。

L9990371_web▲市原湖畔美術館外観

IMG_0686 2_web▲駐車場の館内誘導サインはカッティングシートを波板にあわせて貼ったもの

L9990254▲「市原ぞうの国」をはじめ地域でみられる動物たちが来館者を迎える(左下のシルエットはブタではなくイノシシと、市原の子どもなら誰でも答えるとか)

 

会場全体で市原の未来を描く

安西氏は、個人邸のほか、三鷹の森ジブリ美術館や愛・地球博「サツキとメイの家」の緑化計画も手掛けているランドスケープデザイナーです。どのような会場にしたら、展示する絵も含めて子供たちが主役となり、大人も楽しめる空間になるかを考えました。変化に富んだ市原市の特徴を生かし、その結果、会場を「街」と「海辺」と「みどり」の3つに分け、会場全体で明るい未来の市原が浮かび上がり、体感してもらえるようなデザインにしました。
入選作品は単純に並べるのではなく、壁にグレーの道路を描き、沿道に建ち並ぶたてものに見立てた配置に。道路は足下へと繋がり、床は空から見た街並をイメージ。 壁と床に描かれたマルや四角い模様は、木々やビルをシンボライズしたものです。

L9990177▲子どもの目線にあわせて低く、記念写真も撮りやすいように作品を配置

IMG_0728 2_web▲小湊鉄道をイメージした線路の上で、楽しい電車ごっこが始まることも

 
会場を貫く道路は次の展示室へと誘う動線でもあります。途中で鉄道と交わりつつ、コンビナート群が見えた先に市原港が、さらには太平洋が広がります。さまざまな顔を持つ市原市は、千葉県で最も大きい市でもあります。

L9990207_web▲港に停泊するフネや、海原にたつ白波もカッティングシート

IMG_8460

 

カッティングシートならではの展示

会場に彩りを添えるこれらは、全てカッティングシートを貼って描かれたものです。豊富なカラーバリエーションの中から選ばれた18色、これを塗装でやるのは大変です。以前、やなぎみわ氏のアート作品を紹介したARTICLEでも触れましたが、塗料の臭いが籠ったり、会場を元の状態に戻すのも含めて費用がかかってしまいます。その点、カッティングシートなら施工も現状復帰も容易です。マルや四角のパターンは、貼る位置を予め決めてありましたが、現場でバランスをみながら微調整したそうです。
普段はビルや飲食店の看板サインに使われることが多いカッティングシート。 本展を訪れた中川ケミカルのデザイナーは、シートの特長が存分に活かされた会場や、【後編】で紹介するワークショップの光景を見て、「こんな素敵な使われ方があるとは。商品としてとても幸せなこと」と感動していました。

【後編】へ続く。

 

 

「第2回市原湖畔美術館 子ども絵画展」
会期:2015年1月17日~2月22日(休館:月曜、祝日の場合は火曜)
会場:市原湖畔美術館(千葉県市原市不入 75-1)
開館時間:10:00~17:00(土日祝日は延長あり)
ワークショップ開催日時など、詳細は下記公式サイトを参照してください

市原湖畔美術館  http://lsm-ichihara.jp/

▲