- 2020.02.10
- 2020.02.10
すぐに使える! マテリオ「和紙シート」「箔シート」「舞箔シート」 の空間展示
中川ケミカルのショールーム、CSデザインセンターにて、マテリオを使った展示が行なわれています(終了予定:2月末日、会期延長の場合あり)。
マテリオとは?
スーパーマテリオとして2001年に発売して以来、本物の素材を使っているのが大きな特徴です。現在は大きく分けて金属と和紙があります。
金属素材では、プラチナ、金、銀、銅、錫、アルミ、緑青(ろくしょう)や鉄錆(てつさび)などがあり、それぞれの質感はもちろん、金属が酸化することで生じる自然な経年変化も楽しめます。表面のテクスチャーは、金属箔を細かくしたフレークシートのほか、箔を平押しした箔シート、桜が散りゆくさまを想起させる舞箔シートがあります。最も新しいのが2018年に登場した和紙シートで、こちらは因州産の漉き紙を用いています。
▲ BMS-003 黒銀舞箔シート
すぐにでも使える実践的な展示
CSデザインセンターでは、これまでに計3回、マテリオを使った企画展を開催しています(2008年「橋本夕紀夫展「サビ化!」、2011年「MATERIO 古今graphics!」、2016年「HENGE 箔シート×toolbox」)。今回は展示では初となる「和紙シート」と、「箔シート」「舞箔シート」を使って、より実践的な構成となっています。
会場デザインは、中川ケミカルのデザインディレクター、小林雅央が担当しました。
「カタログに付いているチップや、B6サイズのサンプルでは、貼ったらどのような視覚効果が得られるのかといった最終的なイメージまで膨らませにくいものです。そこで今回の展示では、ガラスのパーテーションを使い、空間を意識したさまざまな提案を試みました。それぞれのシートの特徴も出せていると思います」
マテリオのニューフェイス「和紙シート」
和紙シートの特徴は、漉き紙ならではの素材感が生かされていることです。写真でも確認できるように、紙の繊維、楮(こうぞ)のテクスチャーがそのままあらわれたものもあります。
色は白と生成(きなり)の2色、それぞれに無地と、楮の大小で大雲竜と雲竜があるラインナップ。今回の展示では、この全6タイプを全てご覧いただけます。
▲ WS-021 雲竜 白
▲ WS-031 無地 白
天然和紙ならではの上質感
受付前の展示では、透明のパーテーションをリズミカルに3枚並べて、白の無地、雲竜、大雲竜の3タイプをそれぞれに貼りました。カタログではわかりにくい、楮の大小などの特徴が一目瞭然です。
▲ WS-011 大雲竜 白/WS-021 雲竜 白/WS-031 無地 白
ショールームだから可能な特大サイズでの展示
廊下側の展示では、大判のガラス1枚につき1タイプを貼り、エレベーター前から廊下の先までズラリと並べました。「このボリュームでお見せしたかった」と小林。自然光の影響下にある受付前の展示とはまた違った表情も出ています。
和紙シートがちょうど良い目隠しになっている、このガラス壁の向こうに、小林のデスクがあります。展示のアイデアが浮かぶと、データ化して出力、自らの手で施工する。日中の天気や、ライティングひとつで表情を変えるシートとの対話を重ねながら、会場を作り込んでいきました。
▲ 展示メイキング動画
和紙シート+箔シートの文字
「和紙シートの上に貼っているのは、錫箔シートの切り文字です。当初は黒だったのですが、貼ってみたらどうも黒が強すぎる。墨色が和紙と合わないのはちょっと意外でした。やり直せるのがシートの良いところなので(笑)、錫箔シートに変えたところ、しっくりと落ち着きました。墨文字にはない効果も出まして、照明の光が金属のテクスチャーに反射して煌めくのです。かなり細い文字なのに、金属の質感がしっかりと出ている。今回の展示では、このような微細な表現も見ていただけると嬉しいですね」(小林談)
和紙シート×透過性×出力
窓側での和紙シートの展示は、シートの特徴を複合的に生かした応用編です。パーテーションに貼られているのは、白の無地の和紙シート(WS-031)。外の光が透けた表面に、富士山のシルエットがうっすらと浮かび上がっているのがわかるでしょうか。山のかたちは白インクで出力したものです。朝と夕方とで、シートの表情が変わってくるそうです。
インクジェット出力条件でさまざまな表現が可能に
インクジェット出力は、箔シートと舞箔シートにも可能です。小林曰く、「箔の上にグラフィックを出力する要望はけっこう多い」とのこと。インクの種類や、表面にラミネートを重ねるかどうかによって、さまざまな仕上がりになります。
▲ CLS-001 錫箔シートにグラフィックをインクジェット出力。箔シートの上に魚のグラフィックを出力。個人邸やホテルに納品実績あり。
▲ 手前のガラス:BLS-001 洋金箔シートによるカッティング文字貼り、後ろのガラス:BLS-002 青銀箔シート。シートの重ね貼りではなくガラスを2枚重ねた場合の見え方を展示。
▲ テーブルのガラス天板に黒銀箔シート貼り。裏側から貼れば、同様の視覚効果を得ながら傷がつかないので、家庭用のテーブルにもおススメ。
▲ 透過による演出。
貼る下地を選ばない万能選手
さまざまな下地に貼れるのが「箔シート」「舞箔シート」の良いところ。下の写真のように、木肌の出ている木材にも施工可能です。あたかも直に箔を押したかのような高級感ある仕上がりになりました。
古くからある素材を現代の素材に
「そもそもマテリオの開発は、古来からある素材で、時代に合わなくなり扱う職人も減っていく中、最新の技術を付加することで、現代にふさわしい素材として蘇らせたいという想いからスタートしています。箔も和紙も昔から装飾素材として扱われていたものですが、粘着剤を付けてシート化したことで、初めて可能になったことがあるのです。今回の展示でもいくつか提示したように。照明や印刷、カッティングなど、組み合わせ次第で可能性はいくらでもあります」(小林)
▲ CSデザインセンターのロゴタイプ、赤銀舞箔シートをカッティングしたもの
▲ 鳥取市役所での施工例。製品:和紙シート
▲ 《THE GRAND GINZA》での施工例。製品:錫箔シート(設計 / 株式会社ワサビ、施工 / 株式会社キクスイ、撮影 / Nacasa & Partners Inc.)
まだまだ広大なシート表現の地平
中川ケミカルでは、今年で21回目を数えるCSデザイン賞への応募を3月末日まで受け付けています。毎回、こんな使い方があったのかと驚かされるそうです。
「カッティングシートが世に出て約54年、20年に満たないマテリオには、もっと可能性があるはずです。今回の展示でそれを実感しました。お客さまと一緒に育てていきたい。ショールームにお越しの際は、デザイン室にいる私たちや社員にお声がけください(できれば予約を)。言葉のキャッチボールの中にこそ、シートの地平を拡げるヒントが潜んでいます。ご来場をお待ちしております」(小林談)
展示概要
「和紙シート」「箔シート」「舞箔シート」
会期:〜2月28日(金)*延長の場合あり
会場:CSデザインセンター(東京都中央区東日本橋2-1-6 岩田屋ビル3F)
開廊:10:30-18:30、休廊:土・日曜、祝日
入場無料・予約不要
主催:中川ケミカル
CSデザインセンター
http://nakagawa.co.jp/showroom/
マテリオシリーズ
https://www.nakagawa.co.jp/product/materio/index.html