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デザインのヒント:印刷できるシート特集

切って、貼るだけではないカッティングシート

時に街を彩ったり、アート作品になり、ワークショップで子どもたちが身近な品々を素敵に変身させたりと、さまざまなところ、場面で使われている中川ケミカルの装飾用シート「カッティングシート」(以下シート)。
そのネーミングから「切って、貼る」のが当たり前のように思われがちですが、使い方はそれだけではありません。専用のシートにインクジェットで印刷することができ、これからご紹介するようなさまざまなグラフィック表現も可能です。インクジェット印刷対応製品の特長と、印刷することでもたらされる効果を見ていきましょう。

 

透明フィルム × グラデーション印刷

下の写真は、渋谷にある株式会社ネクシィーズグループの本社ビルにおける改修事例です。創業30周年を迎えるにあたり、通りに面した1階のエントランスまわりを一新したい、という依頼でした。

Nexyz.Group_2▲ 株式会社ネクシィーズグループ本社ビルにおける事例(2017年)
使用製品:フォグラスC-001Aにインクジェット出力(切り文字部分はCS711)

コーポレートカラーであるブルーを基調にしたグラデーションを、無色透明フィルムC-001Aにインクジェット出力、フロントガラス全面に貼って仕上げています。

Nexyz.Group_1

クライアントは当初、シートを切って貼る、いわゆるカッティング貼りによる装飾をイメージしていましたが、コーポレートカラーのブルーがより美しく映えるグラデーション仕上げによるデザインをCSデザインセンターのデザイナーが提案し、実現しました。カッティング貼りは白い文字の部分のみ。夜になれば、ビル内部の光を受けて、ブルーのぼんぼりが街を照らします。

C-001A 製品情報はこちら >

 
 

デザインのクオリティをあげる”調色サンプル”

この事例のような場合、どのようにして色を決めているのでしょうか。中川ケミカルでは、クライアントがイメージする色をシートで再現するために有料で調色サンプルを出しています。事前にこのようなサンプルでクライアントと色の確認をすることで、イメージ通りの仕上がりにすることがきます。特に光を透過する透明色などの場合、調色サンプルを出し、現場で合わせてみるなど確認することをお勧めしています。

調色サンプル_01▲ ブルーの調色サンプル
インク配合の僅かな違いで、微妙に異なるブルーになります。つまり、極めて繊細な色の再現が、プリント表現でも可能なのです。

 
 

透明フィルム × クリアで鮮やかな写真印刷

下の写真は、写真家の太田拓実氏とのコラボレーション企画展「透きとおる風景 inkjet×Foglas001A」の会場の様子です。
溶剤系インクジェット印刷専用フィルムの、無色透明フィルム(C-001A)に印刷しています。貼ってあるフィルムの存在を感じさせないほど高透過なので、写真も美しく表現することができます。

太田拓実展_01▲ CSデザインセンター企画展「透きとおる風景 inkjet×Foglas001A」(2010年)
使用製品:フォグラスC-001Aにインクジェット出力
アーカイブ:http://www.csdc.jp/show-case/gallery.php?sid=173&cid=26

透明のガラスパーテーションに貼られた風景写真を透かして、背後の景色が見えるという、紙焼き写真では出せない透明感が加わりました。夜景の写真にはスポットライトがあてられ、作品のさらなる魅力を引き出しています。

C-001A 製品情報はこちら >

 
 

凸凹面や粗い素材にも貼れるシート

印刷をする・しないに限らず、シートを貼る場合、接着面はできるだけ平滑な方がきれいに仕上がります。では、表面に凹凸がある壁紙やクロスで仕上げられたところに、印刷したシートを貼る場合、どうすればよいのでしょう? 大丈夫、粘着力の強いインクジェットシートなら、イメージ通りに施工することができます。

病院_02

病院_01
▲ 上の写真2点とも、兵庫県立ひょうごこころの医療センター(旧名称)兵庫県立光風病院での事例(2013年)
使用製品:インクジェットメディア CM-702GT ※注.シートを貼る建材の表面にコーティング処理が施されていない場合に限る

CM-702GT 製品情報はこちら >

 
 

番外編:アートのような仕上がり”箔シート”

印刷専用のシートではありませんが、本物の金属素材を使った箔シートも、溶剤系インクジェット印刷に対応しています。箔シートの表面には、本物の金属素材の風合いを美しく保つための特殊な対酸化コーティングが施されています。このコーティングがインクを弾くため、インクをのせると、筆で描いたように色がぼやけて、まるで水墨画のような滲みが生じます。

箔シート_02▲ 使用製品:マテリオ 箔シート 洋金箔シートBLS-001

箔シート_01▲ 使用製品:マテリオ 箔シート 洋金箔シートBLS-001に、赤系の色を出力

 
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インクジェット印刷の仕組み

今回ご紹介した事例は全て、溶剤系インクジェット印刷という方法でシートに出力しています。対応しているのは塩化ビニル素材のシートになります。吹きつけたインクの有機溶剤成分が塩化ビニルの表面を溶かし、溶かした部分に色が浸透、溶剤が揮発すると、インクの色がシートに定着するという仕組みです。

 

デザインをイメージ通りに仕上げるために

溶剤系インクジェット印刷を綺麗に仕上げるためには、印刷速度や温度など機械の設定が、仕上がりに大きく影響します。例えば、プリンターのノズルを速く動かし過ぎると、インクが定着せずに垂れてしまいます。また、印刷後に十分に溶剤を揮発させる乾燥時間を省くと、シートを貼り付けた後の剥がれなどにつながります。
複数のプリンターで出力する場合、機械によって色が変わってしまう可能性があるので、事前に色校正をしておくと良いでしょう。依頼する業者さんにあらかじめ使用用途や仕上がりイメージをしっかり伝えておけば、適切な設定で印刷してくれますので、綺麗に仕上げることができます。

 

 
印刷に対応した装飾用シートは、近年では海外の廉価なものが流通していますが、開発から半世紀以上の歴史をもつ中川ケミカルのカッティングシートは、高い品質を保ちつつ、色の再現力、色の美しさを追求し続けてきました。長年培ってきた出力と施工のノウハウもあります。デザイナーのイメージを具現化する最適な素材選びをお手伝いいたします。紹介事例に関する問い合わせは、CSデザインセンターまでご連絡ください。

 
 
CSデザインセンター
http://www.nakagawa.co.jp/showroom

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