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カッティングシート×子ども絵画展【後編】

カッティングシートを使ったワークショップ

アートをもっと身近に感じて、子どもたちにも親しんでほしいという願いが込められた「第2回市原湖畔美術館 子ども絵画展」は、見て、つくって、あそべる展覧会です。会期中、会場ではさまざまなイベントも開催され、会場構成の一役を担ったカッティングシートがここでも大活躍しています。
 
L9990250_web▲地下の展示室は天井が吹き抜けの大空間

 
入館時に渡されるのが、会場内で4つの○○を探すゲームのワークシートです。答えをシートに記入し、受付に出すと、木の葉のかたちをしたカッティングシートが貰えます。記念に持って帰るのも良し、裏面がシールになっているので、会場の好きな場所に貼ることもできます。展覧会場の壁には、枝を広げた木も何本か用意されています。

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大人にも人気のワークショップ

会期中に合わせて12回開催されるワークショップは、予約なし、無料で誰でも参加できます。用意された約15色から参加者が好きなカッティングシートを選び、シートに描いた絵をハサミで切り抜いて、展覧会場の壁に貼っていく、というものです。
下の写真は、 会期中の週末に計6回にわたって開催されるワークショップのうち、未来の「たてもの」を想像してつくられた、参加者20~25名による合作です。色とりどり、かたちもそれぞれ独自のもの、どれも立派なアート作品といえるでしょう。
 
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IMG_8458_web▲右側の消火栓の文字も実はカッティングシート(サイン計画:色部義昭)

 
このようにして、日を重ねるごとに展覧会場はより華やかな空間に変わっていきます。ワークショップが行なわれる地下の会場の壁も、オープン当初はやや寂しく草木が生えていましたが、子どもたちが花を咲かせ、実らせ、鳥や虫たちを招き寄せてくれました。

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ワークショップで華やかになっていく会場

大勢の人が訪れる美術展の壁を、頑張れば幾つでも、 自分で切り貼りした作品が飾るのは、子どもだけでなく、大人にとっても誇らしいものです。本展では会場内の撮影と画像のネット掲載も許可されているので、自作の前で撮った写真を個人のブログやFBにアップし、さらに多くの人に見てもらえます。

IMG_8526_web▲やってみると、大人もハマって凝りに凝るワークショップ

 
前編でご紹介した、展覧会場の空間デザインを担当した安西一憲氏を招き、2月1日に開催されたワークショップ「未来の□□をつくろう」に参加してみました。

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L9990279_web▲「ちょうちょ、どこにはろうかな」

 
図鑑などの資料や、手順書も用意され、安西さんはじめスタッフが丁寧に教えてくれるので、小さな子どもでも問題ありません。私も実はカッティングシートを切り貼りするのは初めてだったのですが、簡単につくることができました。段々と熱が入り、カッターが欲しくなったほどです。
周りの様子を窺うと、子どもよりも親御さん、特にお父さんが、だんだんと夢中になるようです(もしかしたら、若かりし頃にカッティングシートを使って通学カバンやオートバイをデコレーションしたことがあるのかも?)。図鑑を捲る目は真剣そのもの、黙々と作業を進めていました。うまくつくるコツは、下書きのシルエットを大きめに描くこと。ハサミで切りやすく、貼りやすく、見栄えも断然違います。

 
IMG_8555_web▲工具(プレスタ)を使えば、子どもの手でも綺麗な仕上がりに

 

豊かな自然と感性の先に見えるもの

昆虫や花々など、カラフルなカッティングシートに囲まれた入選作品を改めて眺めてみて、ふと感じたのは、自分にはこんな色彩豊かな絵は描けないなぁ、ということでした。蝶や蝉を追いかけなくなって久しく、人間の骨格がどう曲がるかも知ってしまったオトナは、図画工作の次に教わる美術デッサンで良とされる構図を度外視した絵は描こうにも掛けない。パウル・クレーは子どもの感性を何より尊び、時に羨んだそうですが、まこと、その通りです。
輝ける市原の未来と、子供たちの無限の可能性が、ここにはあります。

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「第2回市原湖畔美術館 子ども絵画展」
会期:2015年1月17日~2月22日(休館:月曜、祝日の場合は火曜)
会場:市原湖畔美術館(千葉県市原市不入 75-1)
開館時間:10:00~17:00(土日祝日は延長あり)
ワークショップ開催日時など、詳細は下記公式サイトを参照してください

市原湖畔美術館  http://lsm-ichihara.jp/

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