C子:2016年が明けまして、最初の ARTICLE です。
S夫:今年も[Hello!CS]にご愛顧たまわりますよう、お願いいたします。
C子:年頭にふさわしい、フレッシュなテーマでお送りしましょう。題して「学生さん必読! CSデザイン賞学生部門の傾向と対策編!」。
S夫:こらこら、年頭から無責任なタイトルコールをしない。上の掲示と↑全然違うじゃないですか。
C子: 受験シーズンまっさかり。これからがラストスパートですよ~。
学生部門の過去の上位作品を振り返る
▲ 【第18回 学生部門(2014)】テーマ:デザインステッカー 金賞「ISHIKI / MUISHIKI」
S夫:「CSデザイン賞」はカッティングシート®のデザインコンペ。今回の学生部門のテーマは「遊び心で人と渋谷をつなげる『仮囲い』」です。
C子:まずは過去の学生部門のテーマと、最優秀作品をおさらいしてみましょう。受賞者名などの詳細は
受賞作品集のページをご覧ください。
S夫:2012年の第17回は、金賞該当者なしで銀賞の2作品が並んでのトップでした。該当者なしは、それだけ厳しい審査ということです。
▲ 【第17回 学生部門(2012)】テーマ:デザインステッカー 銀賞「DEWDROP」
▲ 【第17回 学生部門(2012)】テーマ:デザインステッカー 銀賞「mitsukema」
▲ 【第16回 学生部門(2010)】テーマA:電話ボックス 金賞「木々の向こうに。」
▲ 【第16回 学生部門(2010)】テーマB:グラス 金賞「水のなかの花」
▲ 【第15回 学生部門(2008)】部門1 テーマ:工事現場用仮囲いのビジュアルデザイン 金賞
▲ 【第15回 学生部門(2008)】部門2 テーマ:車両のビジュアルデザイン 佳作
今回のテーマは工事現場で使う「仮囲い」
C子:今回テーマの「工事現場仮囲い」は2008年にも出てますね。
S夫:似て、非なり。「仮囲い」を取り巻く状況や人々の意識は8年前とは違いますから。
C子:というと?
S夫:昔、仮囲いは真っ白いだけの殺風景なものでしたよね。その前を毎日通っていても、全くといっていいほど気にされなかった。
C子:ただの真っ白い壁だったと。
S夫: それを、何かポジティブなものに変えようという意識の高まりが、2008年頃には一部のデザイナーたちの間であって、若い学生さんへの啓蒙としてテーマに据えました。
C子:その当時はデザインが入り込む余地がかなりあったんですね。
S夫:次第に景観に配慮したデザインになったり、広告媒体として使われたりなど、付加価値がついていきました。
▲ 2008年学生部門「工事現場囲いのビジュアルデザイン」 入賞作品
S夫:そして今年は渋谷駅再開発の工事現場で使用する仮囲いのデザインを募集します!
C子:応募要項を比べると、2008年とは条件もビミョーに異なってますね。
S夫:今回は実際の工事現場で使うことが前提になっています。
C子:渋谷駅周辺でガンガンに進行中の大規模再開発の現場で披露されるのですね。うわぁ、学生さんには自信になるでしょうね。
▲ デザインステッカーの商品化 「おうち五輪」 / 第18回 CSデザイン賞 学生部門 銀賞
S夫:「デザインステッカー」がテーマだった前回、上位作品の幾つかを商品化して、授賞式の時に配ったところ、大人気でした。
C子:「
学生のアイデア満載! デザインステッカー販売開始!」と題して原稿を書きました・・・って、エッ?! あれからもう1年?!
S夫:年を重ねると、時の経つのは早くなるのです。
C子:うむむ。学生の皆さん、今のうちに多くを学びましょう。
S夫:そして、CSデザイン賞へのエントリーとご応募はお早めに。
▲ 「ワークショップコレクション11 in シブヤ」で制作された工事用仮囲い(2015年9月21日撮影)
C子:そういえば、去年の夏に tupera tupera さんが講師になったワークショップで、子どもたちと一緒に可愛らしい仮囲いを渋谷に作りましたね。
S夫:今回もご協力いただいた、渋谷駅前エリアマネジメント協議会「
SHIBUYA +FUNPROJECT」さんの主催で、シートを使ったワークショップの作品を仮囲いへと展開しています。
C子:のびのび自由な発想で、素敵な工事囲いになりましたよね。
S夫:東口の再開発現場の仮囲いとしてデビューした時、元の絵を描いてくれた子どもたちの嬉しそうな笑顔が忘れられません。
C子:今も使われているんですよね。
S夫:はい。西口の再開発現場に場所を変えて使われています。
C子:え? 仮囲いって、工事の途中でも移動するものなのですか?
S夫:工事の進行状況に応じてね。あくまで「仮」ですから。
▲ 子どもたちとtupera tuperaさんが描いた「ミライのシブヤ」をイメージ(2015年9月21日撮影)
設置される場所や人の流れを読み解く
C子:S夫さんは仮囲いのビジュアルをデザインしたことは?
S夫:ありますよ。新宿パークタワーの南側の玄関口が工事に入った際、後輩のM子ちゃんとペアで担当しました。
C子:(M子って誰じゃい)あっ、これ、見たことあります。甲州街道沿いの、シャトルバスが発着するところですよね。
▲ 新宿パークタワー 甲州街道側外構部分での使用(2014年11月4日撮影)
C子:依頼に対してどういうふうに提案したんですか?
S夫:まず、クライアントからはコンセプトの提示がありまして、それにふさわしいキーワードやモチーフを考えました。そこからグフラフィックに落とし込んでいきます。
C子:これは、木、雲、雨といった自然現象をイメージしているのかしら。
S夫:ご明答。カラーはクライアントのコーポレートカラーに配慮しつつ、グリーン、紺色、グレーの3色でスッキリと。
C子:よく見ると、ビミョーに色調も変えているという。
S夫:おっ、よく気が付きましたね。通路の幅の狭いところでは、通行する際に圧迫感を与えないよう、色を淡くしたんです。
C子:おお、細かい。
S夫:仮囲いってけっこうデカくて圧迫感がありますからね。高さは何メートルあるか知ってます?
C子:意識したことないですが、今回の募集要項には「高さ3メートル」とあります。
S夫:さすがはC子さん、抜け目がない。いろいろなサイズがあるのですが、街でよく見かけるのは3メートルくらいが多いです。
C子:デザインする上で、他に何か気をつけた点は?
S夫:やはり目線の高さは重要です。サインを入れる場合はこの辺りが読みやすいだろうなとか。遠くからは見えるけど、近くでは気にならないとか。
C子:なるほど。実際に設置された状況を具体的にイメージすることが大切なんですね。
公共空間にふさわしいデザインとは
S夫:大勢の人の目に触れるのは励みになると、C子さんがさっき言ってましたが、逆の面もあるんですよ。
C子:プレッシャー、ですか。
S夫:言うなれば”責任”ですね。仮囲いの場合、そこに住んでいる人や働いている人、近くを歩いている人、の目にいやおうなく飛び込んでくる。
そうなると、単にデザインがかっこいいだけではダメだと思うんです。景観の中でどう見えるかまで考える必要がでてきます。
C子:おっ、S夫さんがいつになく大真面目な顔です。
S夫:プロのデザイナーの顔してるでしょ。
学生さんたちには、公共の場に設置される、不特定多数の目に触れるデザインには何が大事なのか、応募を機に考えてもらえたら嬉しいですね。
▲ CSデザイン学生賞(2008)部門賞 受賞作品
C子:今回のテーマを、新宿パークタワーでの事例にあてはめると、コンセプトは決まっていて、そこから先は応募者それぞれで知恵を絞ってください、ということですね。
S夫:その通り。「渋谷」という街をヒントにいろんなキーワードが出せるでしょうし、可能性もある。なにせ、渋谷駅周辺の再開発は東京オリンピック後も続きますから。
C子:工事エリアは広くて分散しているので、どこに使われるかは出来上がってのお楽しみ。
S夫:切って、貼って、かつ剥がせるという、カッティングシートの特長をいかした、若さあふれる作品を期待しています。
C子:最後までドヤ顔なS夫さんの自信を喪失させるような作品をお待ちしてます!
▲ 第19回を数えるCSデザイン賞。募集は特設サイトから、2016年3月31日締切
▼ エントリーはこちらから
第19回 CSデザイン賞 公式サイト
募集期間:2015年12月1日(火)~2016年3月31日(木)
http://www.cs-designaward.jp/