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ワークショップレポート:カッティングシートで描く”未来のシブヤ”

ワークショップの博覧会

夏休み最後の週末、こども向けワークショップが大集合したイベント「ワークショップコレクション11 in シブヤ」が都内で開催されました。「ワークショップコレクション」とは、参加するこどもたちの創造力を刺激し、表現力を養うような、クリエイティブなワークショップの普及と発展を目的としたプロジェクトです。2004年に始まり、今年で11回めを数えます(主催:NPO法人CANVAS、特別協賛:東急グループ)。今回の会場は渋谷。取り壊される予定のオフィスビル2棟と、周辺のサテライト会場を舞台に、約150ものワークショップ(以下、WS)や関連イベントが開催されました。そのうちのひとつのWSを、中川ケミカルがお手伝いしました。

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▲「ワークショップコレクション in シブヤ」メイン会場/TODビル

 

渋谷で進む再開発プロジェクト

会場の様子をお伝えする前に、今回のWSの企画趣旨について触れておきましょう。渋谷では現在、駅を中心に大規模な再開発が進行中です。全てが完成するのは2027年。これからどんどん変わっていく街・渋谷のファンになってもらい、やがて世界一の街になることを目指して、渋谷駅前エリアマネジメント協議会による「SHIBUYA +FUN PROJECT(シブヤ プラス ファン プロジェクト)」も並行して展開されています。キーワードは「遊び心で、渋谷を動かせ」。地下工事現場の見学ツアーを開催したり、駅構内や連絡通路にカラフルなバナーを掲出しているのも、プロジェクトのひとつです。

今回のWSもその一環で、子どもたちがつくってくれた作品が、渋谷の街にを彩ります。《東急プラザ渋谷》の跡地の再開発工事の仮囲いの装飾として使われるのです(ちなみに、来年1月に着工予定の再開発ビルは、地下4階地上18階、基本設計は日建設計、デザインアーキテクトは手塚建築研究所)。
前置きが長くなりましたが、WS初日の様子をお伝えしましょう。

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▲初日のWSは要事前申込、2日めは当日参加OK

 
「未来のシブヤをえがこう! ~シブヤミライ人を考えよう~」
開催日:2015年8月29日、30日
会場:渋谷TODビル8階
講師:tupera tupera(ツペラ ツペラ)
企画・運営:NPO法人CANVAS
主催:渋谷駅前エリアマネジメント協議会

 

みんなで考える未来のシブヤ

渋谷は多様な人が集まる街、駅前のスクランブル交差点は海外からの観光客にも大人気です。これから未来のシブヤにはこんな人が歩いているかも、という想像をはたらかせて、みんなで「シブヤミライ人」をつくろう、というのが今回のWSです。
その素材となったのが、中川ケミカルが提供したカッティングシート®。 会場入口で参加者たちを迎える「シブヤミライ人」の目や鼻にもシートが使われています。

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▲バラエティに富んだ「シブヤミライ人」 たち

 

この「シブヤミライ人」を制作したのは、8月29日のスペシャル講師を務めた tupera tuperaのおふたり。 亀山達矢さんと中川敦子さんが2002年に結成したクリエイティブユニットです。
※画像提供:tupera tupera(公式ツイッター)

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公式Twitterにもアップされているイラスト(上の画)にも表れていますが、 tupera tupera の創作の基本は「切り絵」です。パソコンを使わず、手で切り貼りしてつくりあげるイラストレーション、絵本、舞台美術など、幅広い分野で活躍中です。NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも務めています。

 

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▲『木がずらり』、『魚がすいすい』

 

絵本作家としてのデビューは2004年に私家版として発売された『木がずらり』。以降も『魚がすいすい』、『かおノート』、『やさいさん』、『しろくまのパンツ』、『パンダ銭湯』などなど、読み聞かせる大人が思わず途中でふきだしてしまうような、楽しい絵本を数多く発表してきました。渋谷のWS会場にも、『いろいろバス』や『うんこしりとり』をおそらく何度も読んで、ストーリーやト書きまですっかり覚えてしまっているような子たちが集まりました。

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▲ワークショップ開始前には、作家本人による読み聞かせも

 

未来を想像してみよう

でも「シブヤミライ人」って? 大人でも考えてしまいますね。そこで、さらに別の”お題”が用意されました。キーワードが書かれた紙をくじびき箱から一枚ずつひき、そのイメージを膨らませて、めいめいがオリジナルの「ミライ人」をつくるのです。

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▲ どきどき♪ワクワクのくじ引きタイム

 
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▲ コ、コスプレイヤー!

 

新発売のシートが大活躍

中川ケミカルでは、社会貢献活動の一環として、さまざまなWSにシートを提供しています。色数が豊富で、ハサミを使って子どもでも簡単に切ったり貼ったりできるのが人気の理由です。

 

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▲「第2回市原湖畔美術館 子ども絵画展」でのWSの様子

 

今回のWSでは、8月5日に発売したばかりの新色も使ってもらいました。スタンダードカラーの167色に、新たにニュートラルな色調の48色が加わっています。彩度を抑えた淡いピンクなどのペールトーンは、「シブヤミライ人」の肌色としてもピッタリ。講師のtupera tuperaさんからは「怒っている人とか、お腹をこわした人の顔色にも使えますね」とさすがのコメント。「今回の台紙は白ですが、黒をバックにして、ペールトーンだけで展開するのもきれいですね。インテリアとしても落ち着いた色調にまとまると思います」とアドバイスをいただきました。

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▲どの色を使おうかな♪

 

「シブヤミライ人」をつくろう!

さて、WSは2日間で約300人のミライ人を制作予定!! いろいろなシブヤミライ人が誕生するように、 キーワードはなんと350種類近く用意されています。「名前、性格、特徴といった大まかなイメージはありますが、あえて、どうでもいいようなキーワードにしています」と tupera tuperaさん。その一部ご紹介しましょう(笑えます)。

 
カジュアル、照れ屋さん、モテモテ、さわやか、セクシー、駅員、アイドル、コスプレイヤー、 ロボット、おっちょこちょい、やさしいけど怒るとこわい、メガネがおしゃれ、鼻毛が1本のびている、変なTシャツを着ている、昔グレていた人・・・などなど。かなり変わったキーワードもありますが、ひとつ制約をかけることで、逆に想像力が刺激されます。例えば、”すごいペットを散歩中”というくじにあたった場合、未来にはどんなペットがいるだろうかとあれこれ夢を膨らませるのは、大人でも楽しい時間です。時には、お孫さんをつれたおばあちゃんが参加して、”マッチョ”と書かれた紙をひいてしまうこともあるそうですが、そのギャップがまた面白く、当人も楽しんでつくってくれるそうです。

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▲「シブヤミライ人」制作中

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▲作業に夢中になると、時間が過ぎるのはあっという間

 
お面づくりのWSなども手掛けている tupera tupera さん。作家としての創作の場とはまた違う手応えがあるといいます。「僕達のワークショップでは、普段その子が描いているものとは、全く違うお題がでることもありますが、『こんなのイヤ!』と投げ出すような子はほとんどいません。子供も大人も、いつもと違うモノを作る事を楽しんでくれています。僕らはただ、参加してくれる人の個性を”利用する”というか、引き出すように努めて、あとは自由につくってもらっています」とのこと。
「小さい子にとって全く知らないキーワードがでてきた時も、難しいからと他のものに変えるのではなく、その場で大人たちから説明を聞いて初めて理解するという経験も面白いと思うし、本来の意味から離れて、何となく言葉の響きでイメージして作ってもいいと思う。すると、ものすごい作品をつくり出したりします。この2日間で、 僕ら大人では思いもつかないようなミライができたと思います」

 
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tupera tupera の二人が大事にしているWSのポイントはふたつ。仕掛けの”出だし”と最後の”作品発表”です。「つくる予定ではなかったモノをつくることは、子どもでも大人でも、自分の殻を破るきっかけになると思うのです。最初は知らない人たちばかりでモジモジしていた子も、自分の作品を指差して、みんなの前で大きな声で発表する姿は、見ているこちらも誇らしい気持ちになります」といいます。たしかに、WSが始まる前と終わりでは、子どもたちはさらにパワーアップしていました。

 
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▲ 完成したシブヤミライ人をみんなで見てみよう

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▲ みんなの前で、自分の考えたシブヤミライ人を発表!

 
さらに「親と子が参加するWSの良いところは、それまで知らなかった互いの一面を知るきっかけも生まれることです。土日もあまり家にいないお父さんが、一生懸命になって何かをつくっている姿は、子どもの目には新鮮で、カッコ良く映るものです。逆に、子どもの集中力の高さや表現力の豊かさをに気付いたり。ふだんは一方通行な関係でも、『そのハサミ、ちょっと貸して』といったひと言で、一気に距離が近くなったりします」とのこと。

これからの未来を担う、たのもしい子どもたちと一緒に、 tupera tupera の二人も「シブヤミライ人」をシートでつくっています。

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▲ tupera tupera の作品はどんなテーマのシブヤミライ人?
(答え→メガネがおしゃれ ※隠しテキスト)

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▲ tupera tupera による「未来のシブヤ」
モヤイ像は結婚して子どもが誕生!?

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これらの作品を再構成して、渋谷駅東口の工事現場の仮囲いを舞台に、新たな”街”が誕生する予定です(設置予定日:9月21日)。どれも明るく楽しく、力作ばかり。映画やショッピングで渋谷を訪れた際には、ぜひこちらの「未来のシブヤ」も覗いてみてください。

 
 
ワークショップコレクション11 in シブヤ
http://wsc.or.jp/workshop/about?ws=ws11

tupera tupera
http://www.tupera-tupera.com/

渋谷駅前エリアマネジメント協議会「SHIBUYA FUN+ PROJECT」
http://shibuyaplusfun.com/

カッティングシート®新色発売のお知らせ
http://nakagawa.co.jp/news/150715.html

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