- 2020.08.07
- 2014.11.05
企画展「第18回CSデザイン賞展」【前編】
中川ケミカルが主催する「CSデザイン賞(CS DESIGN AWARD)」の全受賞作品を一堂に紹介する 企画展「第18回CSデザイン賞展」が、 東日本橋にあるCSデザインセンターで開催されています。
「 CSデザイン賞 」とは
同賞は、カッティングシート®(以下、CS)など「装飾用シート」を使った、優れた表現作品に対して贈られるものです(詳しくは、アワード公式サイトの概要をご覧ください)。
募集部門は、実際に施工されている作品が対象となる一般部門と、規定に沿ったデザインを提出する学生部門の2つ。メーカー主催のコンテストとしては珍しいことに、一般部門は中川ケミカルの製品が使われていない作品も対象となります。そのことが審査に影響することもありません。アワードの設立目的である「装飾用シートの更なる発展と新たな可能性を切り拓く」ために。
こんなところに装飾用シート
例えばLEDとは違って、人々に「あっ、これ装飾用シートだ」と存在を気付いてもらえることはまずありません。そんなシートたちが本展の”主役”を務めます。今回249点の応募があった一般部門から選ばれた、上位4作品をクローズアップしてみましょう(「カッコ 」内は応募作品名。受賞対象者全員の所属と氏名は「 CSデザイン賞」公式ウェブサイトをご覧ください)。
一般部門 グランプリ 市原湖畔美術館サイン計画
ディレクター/色部 義昭(株式会社日本デザインセンター)
△館内地下、壁に白く描かれたエレベーターへの誘導サイン
△ 展示室2出入口付近、自動扉のガラス面に描かれた手かざし誘導サイン
上の写真のうち、2枚めのガラス扉に描かれたサインはCSですが、最初の館内サインは実は違います。意匠としてモルタルでラフに仕上げられた壁に、先ずCSでマスキングをしてから、白ペンキを塗って仕上げたものです。後から剥がせるCSの製品特長を活かした”裏技”が、受賞理由のひとつに数えられています。
今回の企画展では、現地の内壁と、この”裏技”も再現されていますので、ぜひ会場で確認してみてください。
色部義昭氏による受賞コメント:
「湖に面して17年前に建った美術館の、改修・再生プロジェクトのサイン計画です。建物本来の良さを、いかにグラフィックデザインの力で引き上げていくかが課題でした。白い四角の点線(ドット)を基調に、来館者をスムーズに誘導し、レイアウトが複雑な館内を回遊できるサインを心掛けました。柱や壁の表面はモルタル左官仕上げのためフラットではなかったので、施工する側としては苦労しました。 えてして後から付け足したようなものになりがちなガラス面の衝突防止マークも含めて、全体的にうまくデザインできたと思います。」
△《市原湖畔美術館》外観
今回の審査では「無駄のない簡潔な極めて質の高いデザインであり、効果的な壁面を含めて巧みなCSの使用がなされ、空間の密度が増した」(永井一正審査委員長)と高く評価されました。「地味なようで、実は精密な作業を必要としたデザインを、きちんと評価してくれたことが嬉しい。施工業者とスタッフに感謝したい」と色部さんは贈賞式で喜びを語っていました。
そしてこんなところにも装飾用シートが
続いて、準グランプリに選ばれた3作品を、企画展の会場写真でみてみましょう。
企画展「田中一光とデザインの前後左右」His Colors
ディレクター/廣村 正彰(株式会社 廣村デザイン事務所)
△会場の廊下と化粧室を連続させた、今回初の試みとなる展示空間
projects of altering letters
ディレクター/清水 玲
△作品名「the articles」
LOUNGE by Francfranc
ディレクター/小坂 竜(株式会社 乃村工藝社A.N.D.)
△商業店舗のファサードの一部を忠実に再現
ここで問題です。三者三様の3作品のそれぞれどこに「装飾用シート」が使われていたでしょう? いまひとつわからない? うむむ、なんと渋くてニクい”役者”でしょうか。 それでは、実際の施工写真とともにタネ明かしすることにしましょう。
企画展情報
「 第18回CSデザイン賞展」
会期:2014年10月17日~2015年2月27日 ※会期延長しました!(休館:土日曜祝日)
会場:中川ケミカル CSデザインセンター(東京都中央区東日本橋2-1-6 3F)▶Google MAP
開館:10:30~18:30 入場無料(予約不要)
会場構成:鈴木美里(中川ケミカル)
ライティングデザイン:山下 裕子(Y2 LIGHTING DESIGN)
協力:株式会社 竹尾