- 2020.08.07
- 2018.07.09
C子とS夫のお悩み相談室「基礎編 カットデータの作り方 ~入稿前に要チェック!3つのポイント」
今回のC子の悩みは・・・?
C子:うーん、うーん、ううーん。
S夫:どうしました? C子さん、さっきから唸っちゃって。
C子:実は、友人のギャラリーのエントランス装飾をカッティングシートでやりたいんですけど、これで大丈夫かなぁと心配なんです。
S夫:これみよがしに困って、僕に相談しようとしていますね。
C子:さすがはS夫さん、鋭い!
S夫:それほどでも。ん? 前にも似たような展開があったような・・・
C子:「基礎編 シート選び」に続く、「C子とS夫のお悩み相談室」の第二弾ですよ~!
ギャラリーのエントランスを装飾する
C子:こちらがギャラリーです。黒く見えている部分は全面ガラスで、そこにギャラリーのロゴと2階にオープンするカフェの営業時間も入れたいんです。
S夫:ふむふむ。
C子:全てカッティング貼りで、色数は3色にしようと思います。
S夫:なるほど。3色展開なら、費用もさほどかからないでしょう。
C子:そのあたりは、前回の「お悩み相談室」を読み直しました。
S夫:よしよし。学習しましたね、C子さん。
初心者がミスしやすい3つのポイント
▲ C子が入稿しようとしていたデータ
S夫:パソコンで、C子さんがIllustratorで作ったデータを開きました。
C子:きれいに作っているでしょ。
S夫:いえ、問題ありです。見た目にはわからないけど、カッティング加工を前提とした「カットデータ」になっていませんね。
C子:というと?
S夫:初心者が見落としがちな3つのポイントができていません。残念でした。
初心者がミスしやすい カットデータ3つのポイント
①データのゴミ
②アウトライン化
③パスの合体
②アウトライン化
③パスの合体
S夫:1つずつ見ていきましょう!
C子:お願いします!
ポイント①「データのゴミ」を消す
S夫:いわゆる「データのゴミ」は、「すべてのオブジェクトを選択」で確認できます。
C子:いま、何かショートカットキーを押しましたよね。
S夫:すべてのオブジェクトを選択[command⌘]+[A]キーが便利です。ほらほら、ゴミがいっぱい出てきましたよー。
C子:ううう、見たくないよぅ。
S夫:現実を直視しましょう、C子さん。
▲ S夫が「ゴミだらけ」と指摘したC子の入稿データ
S夫:おそらく、文字や図形(オブジェクト)を描きかけたのを消し忘れて、残ったままのデータですね。
C子:あ~、そうか、そうでしたー。
S夫:このような不要なパスのデータが残っていると、カット時にカッティングプロッターがパスデータを拾って、そのまんまカットしちゃうんですよ。
C子:それは困ります!
S夫:常日頃から、こまめな掃除を習慣付けましょうね、C子さん。
C子:はい・・・。
S夫:ちなみに、この後で説明する「アウトラインプレビュー」でも、ゴミの有無は確認できます。
ポイント①
「データのゴミ」を消す
「データのゴミ」を消す
関係のないデータは削除すること!
確認方法
すべてのオブジェクトを選択[command⌘]+[A]で必要のないオブジェクトがないかを確認。
ポイント② 文字や図形の「アウトライン化」
C子:ポイント②は「アウトライン化ができていない」でしたよね。
S夫:はい。言い換えると、テキストや図形の「パス化」ができてないんです。データを、アウトラインプレビュー[command⌘]+[Y]すると確認できます。まずは、ダメな例を見てみましょう。
C子:アウトラインプレビューで見てみると全然違いますね。
S夫:「アウトライン化」には主に3種類あります。
テキストのアウトライン化
メニュー > [書式] > [アウトラインを作成]
パスのアウトライン化
メニュー > [オブジェクト] > [パス] >
[パスのアウトライン]
[パスのアウトライン]
アピアランスの分割
メニュー > [オブジェクト] > [パス] >
[アピアランスの分割]
[アピアランスの分割]
C子:ぐぬ。結構あるんですね。
S夫:テキストやパスのアウトライン化はわかりやすいですが、アピアランスの分割は馴染みがないかもしれません。
オブジェクトに「効果」を適用させている場合に、「アピアランスの分割」が必要になります。[command⌘]+[Y]でみるとわかりますが、「効果」は見た目を変えているだけで、パスデータ自体は元のままです。
オブジェクトに「効果」を適用させている場合に、「アピアランスの分割」が必要になります。[command⌘]+[Y]でみるとわかりますが、「効果」は見た目を変えているだけで、パスデータ自体は元のままです。
C子:なるほど。
S夫:「効果」をパスデータにするのが「アピアランスの分割」です。では先ほどの例を、ちゃんとアウトライン化すると・・・・・・。
C子:おお!狙い通りの図形になっている。
S夫:ちゃんとアウトライン化できているかを確認するには「アウトラインプレビュー」が非常に役立ちます。覚えておきましょう。
C子:はい!これなら重なってるゴミもすぐ見つけられますね。
ポイント②
文字や図形の「アウトライン化」
文字や図形の「アウトライン化」
・テキストのアウトライン化
・パスのアウトライン化
・アピアランスの分割
・パスのアウトライン化
・アピアランスの分割
確認方法
アウトラインプレビュー[command⌘]+[Y]で狙い通りのパスデータになっているかを確認。
ポイント③「パスの合体」
C子:もうひとつ、「パスの合体」ができていないんでしたよね。
S夫:これもありがちなミスです。黄色の階段状の図形はどうやって作りましたか?
C子:正方形を1つ作って、コピーして、重ねましたけど・・・?
▲ C子が個々の正方形をコピーして作ったデータ
S夫:作り方は合ってます。その個々の図形を、最終的に合体させないといけません。
C子:(恐る恐る)合体しないで入稿すると、どうなります?
S夫:データどおり、正方形のまわりに切り込みが入った状態でカットされちゃいます。
C子:ぎゃー!
S夫:大丈夫。合体は簡単です。アウトラインプレビューでも確認できます。
▲ パスファインダーで合体すると...狙い通りのパスに!
ポイント③
「パスの合体」
「パスの合体」
複数のパスで構成した図形は最後に「合体」させる
パスの合体方法
メニュー > [ウィンドウ] > [パスファインダー] を表示 > [合体]
確認方法
アウトラインプレビュー[command⌘]+[Y]で狙い通りのパスデータになっているかを確認。
3つのポイント手直し完了!
▲ 手直しが完了した入稿データ
C子:修正したデータを、アウトラインプレビューで確認しました。いかがでしょうか。
S夫:図形が一筆書きのように見えていますね。これでOKです。入稿できます。
C子:ばんざーい!
S夫:参考までに、どちらに入稿する予定でしたか?
C子:某Tハンズさんあたりに。
S夫:問題ないです。昨今は、手軽にシート出力できるところが増えましたよね。
C子:遠い目をするS夫さんです。
S夫:どこであれ、印刷する側は、正しいカットデータかどうかまでは確認しませんから、きちんと作らないといけません。
C子:肝に銘じました! 先生、またよろしくお願いします!
S夫:なんのこれしき。ん? ということは、続くんですね・・・この企画。
まとめ
ポイント① 「データのゴミ」を消す
ポイント② 「アウトライン化」する
・テキストのアウトライン化
・パスのアウトライン化
・アピアランスの分割
・パスのアウトライン化
・アピアランスの分割
ポイント③ 「パスの合体」