- 2020.08.07
- 2015.10.30
C子とS夫が行く! 企画展レポート「 スパイラル開館30周年記念展 スペクトラム」
C子:今日は東日本橋を離れて、オシャレなところにやってまいりました。
S夫:弊社がある東日本橋がオシャレではないと言われているような。
C子:南青山です、246です、スパイラルです!
S夫:開館30周年を記念して、今月18日まで、4人のアーティストによる展覧会が開催されていたのですが、出展作品の一部をカッティングシートでお手伝いしました。
C子:あ、もう終わっちゃったんですか。
S夫:誰かさんが原稿書くのが、お・・・
C子:みなさまにはS夫さんが撮ってきた素晴らしい写真でお届けしましょう!
▲ 榊原澄人 Sumito Sakakibara《Solitarium》2015年
S夫:館内エレベーターです。銀色の扉を1階だけシートで装飾しました。
C子:今は跡形もなく、きれいに現状復帰されております。
S夫:出展作家のひとり、榊原澄人さんの作品が5階の展示室にあり、アプローチにふさわしい演出効果となっています。
C子:右と左で絵が違うんですね。
S夫:2枚で1枚というか、繋がっているんですよ。
C子:うーむ。独特の絵力(えぢから)をもった作品ですね。
S夫:扉が開くと、たぶんもっとびっくりしますよ。
C子:おおー、大迫力!
S夫:向かって左の内部が青、右が赤と、左右で違う絵柄になっています。
C子:シートを貼る作業はにどれくらいかかっているんですか?
S夫:扉と中をあわせて、1基あたり2時間半ってとこですね。
C子:あれ? 四角い内側を4~5枚、ばばーと貼って終わりじゃないんですか?
S夫:そういうガサツな仕事はしていませんっ。1基あたりシートを26分割して貼り合わせているんですから。
C子:にじゅうろく?!
S夫:わからんよーに仕上げるのがプロの技です(えっへん)。
C子:ボックスの中が26枚+外扉が2枚×2基、全部で、え~っと・・・。
S夫:56枚です。ボックスのサイズも事前に調べて、どこでシートを分割しようか、どこで重ねて貼るか、施工の際にできるだけカッターを使わないで、少しでも早く作業できるように、弊社のテクニカルスタッフが持てる力を注ぎ込んでいます。今回は作家さんからお預かりしたデータの微調整もしていますし。
C子:貼るまでの準備が大事なんですね。
S夫:人間の目は不思議なもので、データのままだとボックスに貼られた絵柄が歪んでしまって、どうしてもきれいに見えないんです。一部を微妙に伸ばしたりしています。
C子:うーむ。説明されてもよくわかりません。
S夫:C子さんはどうでも、大事なのは作品をみにきたお客様です。5階がこの作品のメイン会場ですし、作品のイメージを損なわないようにしませんと。
▲ 榊原澄人 Sumito Sakakibara《Solitarium》2015年
S夫:下の写真は髙橋匡太さんの作品です。30周年をお祝いするライトアップです。
C子:青山通りから夜、眺めたとき、色がゆっくりと移り変わって、きれいでした。
S夫:過去30年間の流行色を、光の色の移り変わりで表現しています。
▲ 髙橋匡太 Kyota Takahashi《いつかみる夢「散華」》2015年
C子:ちなみに、シートにも流行色ってあるんですか?
S夫:流行というか、いつの時代も最も売れるのは白ですね。
C子:成るほど。それでこの夏に白のバリエーションを増やしたんですね。
S夫:「セレクティッドホワイト」の5色です。「ニュートラルグレースケール」、「グレイッシュトーン」、「ペールトーン」もよろしくお願いします。
C子:以上、PRでした。
C子:ところで、あの~? いったいどこいら辺にシートが?
S夫:よく見てください、ガラスの下のほうを。色の帯が横に走ってますでしょ。
C子:あっ、このグラデーションの帯でしたか。
S夫:実は、最初はグラデーションがきれいに出なくて、データの加工に苦労しました。
C子:今だから語っております。
S夫:サンプルテストはしましたが、現場に貼ったのは設営一発勝負でした。これだけの長さですから、いやーシビれました。
S夫:芸術の秋、アートやデザインイベントが都内や各地で目白押し。都内のいくつかの会場でもシートが使われてますし、神戸での大きなアートイベントにも協力しています。
C子:以上、次回ARTICLEの予告でした。
S夫:10月末には横浜で今年もまた「光のらくがき」をやりますので、ふるってご参加ください!
S夫:スパイラルの展覧会では、谷川俊太郎さんをはじめとする詩人の方々が4つの作品を前に、即興で詩作をするという公開イベントもありました。それら4篇を会場の壁、数カ所に追加で貼りました。
C子:シート貼りも公開で?
S夫:まさか! 閉館後の作業です。・・・あ、でも、公開作業も面白いかも。
C子:いったい誰が見るんですか。
▲ 谷川俊太郎「色即是空のスペクトラム 髙橋匡太への散華」 2015年
S夫:オープンした後にこういう追加ができるのも、シートならではです。
C子:美術館でのワークショップにも最適ですよね。
S夫:我々の仕事というのは裏方で、だいたい作業は夜中にコッソリ。それが当たり前ですけれども、時々は「あ、これってシートかな」と気付いてもらえると嬉しいですね。
S夫:ところで、榊原作品と髙橋作品に使われているシートの種類に違いがあったんですけど、わかりました?
C子:シートの種類????
S夫:2つの作品とも、シートにインクジェット印刷で製作されています。榊原作品は「白いシート」をベースに印刷し、表面をマットのラミネートフィルムで仕上げています。一方、髙橋作品は「透明フィルム」をベースに印刷し、表面にグロスのラミネートフィルムで仕上げています。
C子:いわれてみると、エレベーターボックスの中は何となくしっとりしてたような。
S夫:光を透過させるほうはキラキラ感を演出しています。
▲ 白いシートに印刷 + マットラミネート
▲ 透明フィルムに印刷 + グロスラミネート
C子:ところでラミネートって、何でしたっけ?
S夫:ラミネートとは、印刷したシートの上から、さらに保護用のフィルムを重ねることです。そうすることで、印刷面が長くもちます。街で見かける印刷してあるシートは、だいたい2枚重ねになっているんです。
C子:シートは1枚にみえて、1枚じゃないんですね。
S夫:いろいろと組み合わせることで、イメージに近いものができますし、表現の幅も拡がります。
C子:そんな裏ワザをお知りになりたい方は、中川ケミカルのショールーム(CSデザインセンター)までお問い合わせください!
S夫:11月16日からは「Sogen office」と題して、ショールームをオフィス空間にする企画展も開催してますので、お気軽にご利用ください。
スパイラル開館30周年記念「スペクトラム ーいまを見つめ未来を 探す」展
会期:2015年9月26日~10月18日
出展者情報など詳細はこちら▼
http://www.spiral.co.jp/e_schedule/detail_1590.html