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C子とS夫が行く!「2019 鈴木マサルの傘 POP UP SHOP」

 
190617_SUZUKIMASARU 0026_▲ 「2019 鈴木マサルの傘 POP UP STORE」 会場:CASE GALLERY(東京都渋谷区元代々木町)
会場構成:坂元夏樹、撮影:三嶋義秀
 

C子01
C子:三角屋根のかわいらしい建物が見えますよ、S夫さん。


S夫01
S夫:6月30日まで「鈴木マサルの傘 POP UP SHOP」を開催していたギャラリーです。ギャラリーとしてもうすでにクローズしていますが。


C子_元気
C子:終わっちゃったけど、中川ケミカルで展示協力をしたから紹介したいんですね。


S夫01
S夫:会期が9日間と短く、ご存じない方もいらっしゃるかと思いますので。


190617_SUZUKIMASARU 0002_▲ 「2019 鈴木マサルの傘 POP UP STORE」 会場:CASE GALLERY(東京都渋谷区元代々木町)
会場構成:坂元夏樹、撮影:三嶋義秀
 

テキスタイルデザイナーの展示会場における事例

C子01
C子:ガラスに描かれた白い絵柄の部分がカッティングシートですね?


S夫_元気
S夫:そうです。ガラスの高さは1.8メートル、幅が全長で約8メートルと、かなり大きな鳥です。


C子_びっくり
C子:これって鳥だったんですか。


S夫_疑問ハテナなし
S夫:ななな。なんてことを!今回のスペシャルゲストの御前で!


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鈴木:この鳥だかナンだかをデザインしました、鈴木マサルでございます。 ヘ(゚∀゚*)ノ


C_tara
C子:ひぃぃ、ごめんなさぁい!


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鈴木:まあ、けっこうデフォルメしてますから(・∀・)/ 別に顔出しNGではありませんが、お二人に合わせて、この「鳥みたいなの」をアイコン化して、お邪魔しまーす。


S夫_元気
S夫:鈴木マサルさんのブログ 「テキスタイル獣道」に倣って、今回は顔文字、絵文字も交えてお届けします。





富山用顔写真

鈴木マサル プロフィール
1968年千葉県生まれ。東京造形大学造形学部デザイン学科テキスタイルデザイン専攻領域教授。
多摩美術大学染織デザイン科卒業後、粟辻 博デザイン室に勤務。1995年に独立、2002年に有限会社ウンピアット設立。2005年からファブリックブランド OTTAIPNU(オッタイピイヌ)を主宰。自身のブランドのほか、2009年よりフィンランドの老舗ファブリックメーカー Lapuan Kankurit(ラプアンカンクリ)、2010年よりMarimekko(マリメッコ)のデザインを手がける。
その他にも、アルフレックス ジャパン、カンペール、ユニクロ、ファミリア、zoffなど、国内外のさまざまなメーカー、ブランドのプロジェクトに参画。テキスタイルの領域を超えて活動中。最新作は日本赤十字社芳賀赤十字病院の小児科病棟における壁面アートワーク。
主な受賞:「富山もようプロジェクト」で2015年第35回新聞広告賞、Milano Design Award 2016 “BEST ENGAGEMENT by IED
主な著作:『鈴木マサルのテキスタイル』(誠文堂新光社、2016)
OTTAIPNU公式ブログ:テキスタイル獣道 https://ameblo.jp/ottaipnu/

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▲2014年「鈴木マサル傘展ー持ち歩くテキスタイルー」 会場:スパイラルガーデン
会場構成:設計事務所ima、動画制作:WOW inc. 撮影:三嶋義秀
 


カラフルな傘になるまで

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鈴木:「持ち歩くテキスタイル」をコンセプトに、傘のデザインを企画したのが2010年。その翌年から毎年リリースして、今年で9シーズンめになります。


S夫01
S夫:鈴木さんの傘は今でこそ派手なイメージですけど、最初の頃はもう少し地味でしたよね。


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鈴木:「売れ筋は無地、カラフルな絵柄の傘なんて売れるわけない ヽ(`Д́)ノ」という、外部の意見にちょっと寄せてました(笑)。でも、まぁ、見事にどれも売れなくて。(‾-‾;)


C子_びっくり
C子:ええー? ジメジメした雨の日にこの傘をさしたら、すごい気分がアガりそうなのに。


S夫01
S夫:傘が今のように派手になったきっかけって、何かあったんですか?


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鈴木:忘れもしない、渋谷を歩く人々を見下ろせる某カフェで、新作のデザインを考えてた時です。ちょうど雨が降っていて、信号が変わって、わーっと大勢の人が行き交うのを見て、「うわぁ、綺麗な傘がいっぱいだー」と思ったんですね。それと同時に「うちの傘なんて、ぜんぜん地味じゃん(。・ω・)ノ」と気づいちゃった。


C子01
C子:そこからカラフルな傘になったんですね。


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鈴木:その勢いで描いたデザインを人に見せたら、「どこでお茶飲んでたの?メキシコ?」って言われたくらい(笑)。そこから振り切ってやってます。



新作_▲「2019 鈴木マサルの傘 POP UP SHOP 新作」(絵柄の動物はクモザル、水牛、ライオン、鳥)


傘たちを引き立たせる、白一色のウィンドウデザイン

S夫01
S夫:そんな傘たちを引き立たせるために、傘展の会場は白の1色づかいでシンプルに。


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鈴木:それに、白って意外に強い色で、遠くからでも目につきやすいですから。昨年も同じ会場で「傘展」をやったんですけど、ガラス面を白のシートで装飾しました。


S_namida
S夫:弊社のシートではありませんが、去年の会場デザインがこちらです。

180630_SUZUKIMASARU 0013_▲ 「2018 鈴木マサルの傘 POP UP STORE」 会場:CASE GALLERY(東京都渋谷区元代々木町)
会場構成:坂元夏樹、撮影:三嶋義秀
 

C子01
C子:なんか細かいのがいっぱい降ってる!


S夫_おすまし
S夫:外の天気は晴れていても、そこだけ雨が降っているという。素晴らしいデザインですね。


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鈴木:夜もいいけど、太陽の光が差し込む午前中がまたイイ感じになるんですよ。



180630_SUZUKIMASARU 0027_▲ 「2018 鈴木マサルの傘 POP UP STORE」 会場:CASE GALLERY(東京都渋谷区元代々木町)
会場構成:坂元夏樹、撮影:三嶋義秀

180630_SUZUKIMASARU 0029_▲ 「2018 鈴木マサルの傘 POP UP STORE」 会場:CASE GALLERY(東京都渋谷区元代々木町)
会場構成:坂元夏樹、撮影:三嶋義秀

180630_SUZUKIMASARU 0001_▲ 「2018 鈴木マサルの傘 POP UP STORE」 会場:CASE GALLERY(東京都渋谷区元代々木町)
会場構成:坂元夏樹、撮影:三嶋義秀

C子01
C子:影の雨粒までもが美しいですね。でも、施工が大変だったのでは?白い雨粒を残してシートを剥がす、いわゆるカスとりが。


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鈴木:思い出すと爪が痛い(T▽T;)


S夫01
S夫:粘着性が強いシートだったんでしょう。本来、シートはガラスと相性が良いんですが、選択を誤ると、現状復帰にも時間がかかってしまう。




開催までドキドキの進行

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鈴木:今年はそんな苦労をしないように、早めに中川ケミカルさんに相談して、施工までお願いしてあったんですが、ドキドキの展開に。


S夫_疑問ハテナなし
S夫:会場側の都合が合わなくなって、開催の危機に見舞われたんですよね、実は。


C子_びっくり
C子:えええ (((( ;°Д°))))


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鈴木:そう、まさにこんな感じ (((@Д@;))) で。6月15日からやりまーすとプレスリリースを出していて、DMも刷って、発送しようかというタイミングでしたから。予定通り開催できて本当に良かった!関係者の皆さま、ありがとうございます!


S夫_おすまし
S夫:そうと決まったのが開催9日前だったので、時間的に無理で、幻となった当初のデザイン案がこちらです。


190607_図面_ぼつ▲ 「鈴木マサルの傘展2019」会場デザイン 初稿(ボツ案)正面図

C子_びっくり
C子:大雨が降ってますよ! 鳥もいない!


S夫01
S夫:去年は小雨、今年はザンザン降りになるはずだったんです。図面だから線が黒いけど、色は白で。


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鈴木:テキトーに線を引いたように見えるでしょうけど、ものすごい時間かけて仕上げたんです!ヽ(`д́;)ノ



190607_図面_ぼつ▲ 「鈴木マサルの傘展2019」会場デザイン 初稿(ボツ案)正面図 部分拡大

S_tara
S夫:今だから言えますが、この施工はチョー難しいので、ウチの職人はビビってました。


C子_疑問
C子:S夫さん、声が小さいですよ。どこらへんが難しいんですか?


S夫_疑問ハテナなし
S夫:カスとりと撤去時の剥がしやすさ重視で、全部の線が繋がっているんです。


C_tara
C子:ひぃぃぃぃ (;°皿°)


S夫_おすまし
S夫:トータルでカッティングする線が長いから、プロッターカットにも時間がかかる。分割して貼る際に合わせる部分が一本でもズレると、辻褄が合わなくなって、最初からやり直し。


C_namida
C子:ぎゃーーー!


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鈴木:でも、これ、やりたかったなぁ。どこかでやらせてくれないかなぁぁぁ。


S夫_元気
S夫:その際はご用命を! 気合いで貼ります!




大きい時は分割で!

190607_図面▲ 「2019 鈴木マサルの傘 POP UP STORE」会場デザイン 変更案 正面図


C子01
C子:そんな荒波を乗り越えて、この白い鳥が生まれたのですね。


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鈴木:なにかパーッと明るい感じにしたいなぁと、パソコンの画面に外観写真を出して考えてたら、三角屋根の鳥の家、鳥カゴみたいじゃん (・∀・) と閃いて。


S夫_元気
S夫:建物と一体化した見事なデザインが、一晩で上がってきたのはさすがです!


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鈴木:そこから入稿までの手直し、納品でもお世話になりました。東日本橋方面に足を向けては寝られません m(_ _)m


S夫01
S夫:鈴木さんたちが貼ることになったので、作業効率を考えて、輪郭線をカットして、10のブロックに分けることをご提案しました。


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鈴木:その辺りよくわかってなくて。大判ガラスが3枚だからシートも3分割かなーと思ってました。


C子01
C子:そして図面通りに完成、拍手!

190607_図面_分割▲ 「2019 鈴木マサルの傘 POP UP STORE」会場デザイン 決定稿 正面図

190617_SUZUKIMASARU 0006_▲ 「2019 鈴木マサルの傘 POP UP STORE」 会場:CASE GALLERY(東京都渋谷区元代々木町)
会場構成:坂元夏樹、撮影:三嶋義秀


鈴木マサルさん×シート

S夫01
S夫:今回の展示の打ち合わせで、弊社のショールーム、CSデザインセンターにお越しいただきましたが、いかがでしたか?


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鈴木:いっぱい種類があるんだな~と思いました。それまでは、シート=展覧会のサイン、切り貼り文字のイメージが強かったのですが、サンプルを実際に見て、いろんな表現ができそうだなーと。


S夫_元気
S夫:今回は白だけでしたが、多色展開が弊社の売りですし、グラフィックをインクジェット印刷して貼ることも可能です。


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鈴木:いろんな表現方法、無限の可能性がありますよね。シートを使って自分でデザインしたのは去年の「傘展」が初めてでしたが、これからも意識して装飾に使っていきたい素材です。


C子_びっくり
C子:ニンマリ顔のS夫さんの一存で、文字が大きくなっております。




鈴木マサルさん×シート 最新プロジェクト

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鈴木:続く時は続くもので、今年は傘展以外にもシートを使ったプロジェクトがありました。


C子01
C子:見たいです!


S_namida
S夫:弊社のシートではございませんが、嫉妬するほど素敵なので、ご紹介します。



setouchitrain_setooohashisen0041_▲「2019 SETOUCHI TRAIN」 クライアント:JR西日本
setouchitrain_9763_▲「2019 SETOUCHI TRAIN」 クライアント:JR西日本

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鈴木:JR西日本岡山支社さんとのお仕事です。電車の外観パッケージをデザインしました。


C子_びっくり
C子:乗りたい! 駅弁も食べたいです! S夫さんっ!


S夫_おすまし
S夫:どうぞどうぞ。出張費は出ませんヨ。


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鈴木:今年2月から2022年3月頃までの予定で、岡山・備後エリアを走ってますので、よろしければ、皆さま、ぜひー。(・∀・)/




dji_0070_▲「2019 森と、湖と、アンブレラと。」 会場:メッツァビレッジ、撮影:大木大輔

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鈴木:続いて、埼玉県飯能市にできたアミューズメント施設メッツァでの期間限定プロジェクト「森と、湖と、アンブレラと。」です。こちらは今年6月8日〜9月1日の期間で開催されました。


C子01
C子:ムーミンバレーパークがある、話題のテーマパークですね。


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鈴木:エントランスから奥の湖畔に至る全長約100メートルのアプローチを、入り口から湖に虹をかけるようなイメージでデザインしました。足元の色柄がシートです。


S夫01
S夫:頭上に傘を吊るしたインスタレーション「アンブレラスカイ」は、2012年にポルトガルで始まったものだそうで、日本でも開催するところが増えているようですね。


C子_びっくり
C子:公式サイトによれば、日本最大級の「アンブレラスカイ」ですって!


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鈴木:僕としても過去最大のプロジェクトになりました。エライコッチャ(ノ゚ο゚)ノ



dji_0102_▲「2019 森と、湖と、アンブレラと。」 会場:メッツァビレッジ、撮影:大木大輔

S_namida
S夫:あああ、これ、貼りたかったなぁ。


C_tara
C子:S夫さんがしょんぼりしちゃったので、何か明るい話題はないでしょうか、鈴木さん。


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鈴木:この秋にオープンするホテルのインテリアの仕事が京都で進行中なのですが、エントランスまわりで御社のシートを使う予定です。


S夫_びっくり
鈴木:おおぉっ!


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鈴木:去年の「傘展」みたいな感じになります。色は白だとちょっと強いので、曇りガラス調で。


C子_おすまし
C子:S夫さんの目に生気が戻りました。


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鈴木:去年の「傘展」を見たデザイン事務所の方が、あのデザインを気に入って、オファーしてくださったんです。「カスとりの、痛み和らぐ、嬉しさよ。」(ノ_-。)


C子01
C子:「S夫さん、京都が私を、呼んでいる。」


S夫01
S夫:(無視)。どんな仕上がりになるか、とても楽しみです。鈴木さん、本日はありがとうございました、お忙しいところを。


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鈴木:いえいえ。では、次は京都からかな? その日まで、サヨウナラ~(・∀・)/


 

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