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箔シートでリニューアル! 日本料理店「斗南(となみ)」

DSC_1951_tori▲ 神楽坂の1本裏にある「芸者新道」に佇む店舗外観

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「日本料理店 斗南(となみ)」は、花街の色香を残す神楽坂の路地裏に佇む日本料理店です。店内は席数27、テーブル席と座敷のほか、板目も美しい見事な椋の一枚板をしつらえたカウンター席が、お客さまを迎えます。

 
L1000181_e▲ リニューアル後のカウンター席

 
こちらのカウンター席を昨年12月にリニューアルした際、箔シートによる空間デザインを中川ケミカルが提案し、採用されました。

 
L9995774_e▲ リニューアル前のカウンター席。左側の壁は全面鏡張り

L1000177_e▲ 中央の色の濃い部分が黒銀箔シート、左右が錫箔シート
水紋を白漆喰でを仕上げた土壁は、全国左官技能競技大会優勝の実績をもつ吉村誠氏の作

 
リニューアル前後の写真を見比べると、あまり変わっていない印象を受けるかもしれません。 それもそのはず。この地に開店して5年、お客さまとともに育んできた店の雰囲気を壊すことなく、新しさと高級感を加味した空間にできないか、というのが店側の希望でした。

店のイメージアイコンでもある漆喰仕上げの壁は大切に残し、その前の作業用カウンターとキャビネット収納というレイアウトも踏襲しています。リニューアルしたのは、キャビネット収納の一部。お客さまにも見える、収納棚の扉および引き出しの表面に、マテリオシリーズの「箔シート」を貼っています。リニューアル前の突き板の扉の色に近く、色味もシンプルに、黒銀と錫(すず)の箔シート2色づかいが採用されました。

 
lineup_haku▲ 2016年2月に発売した箔シート

マテリオシリーズは本物の金属を素材に使った装飾用シートです。金属ならでは質感と、時が経つにつれて色味が自然に変化し、味わい深さを増していくのが大きな特徴です。箔シートのラインナップは金、銀、銅、アルミなど9種類。本物の箔を職人が一枚一枚、手で貼っていったものをシート化しているため、箔目がパッチワーク状に残り、鈍く帯びる光とともに独特の美しさを醸し出します。

 
 

内装に使いやすい箔シート

seisaku02▲ 熟練の職人が一枚一枚、手で貼ったものをシート化した「箔シート」

厚さがミクロン単位の箔は、熟練の職人にしか扱えないデリケートな素材ですが、シート化した箔シートなら扱いは容易です。今回のリニューアルでも、吊り棚の扉や引き出しを取り外し、表面に下処理をして平滑にならした後、カットした箔シートを貼るだけでした。棚の中にしまった皿や小鉢を移動させる必要もありません(以降に続く5枚の写真は施工時の様子)。

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決して廉価ではない箔シートですが、木口と呼ばれる扉の側面にも表面から箔シートを巻きこんで貼っていきます。扉が閉まっていれば、カウンター席からは見えない部分ですが、扉を開け閉めする際にお客さまの目に触れてしまうため、角の部分に切れ込みを入れるなどして違和感なく仕上げました。

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この側面には扉を開け閉めする際に指で引っける取っ手のくぼみがあります。これまでのARTICLEでも何度かご紹介したように、平らではない形状にシートを貼るにはドライヤーの出番です。熱風でシートを徐々にのばしながら貼ると、きれいに仕上げることができます。

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7D6A2320_e▲ 天井に近い木口部分にはブラックマットのカッティングシートを貼ることで、箔シートの繊細な光が引き立つ

漆喰仕上げによる壁の手前にある作業カウンターでも、箔シートを使っています。キャビネット収納の突き板天板の上に新たに設置したガラスの裏側から、錫箔シートを貼りました。箔シートの粘着剤は透明なので、ガラスを透かして美しい箔目が浮かび上がります。

7D6A2258_e▲ 箔シートをガラスの裏側から貼ることで傷つき防止にも

L1000195_e▲ 全体で統一感あるデザインに

錫箔および黒銀の箔シートは、店内の別の場所にも使われています。カラカラと引き戸を開けて店に入ったときに、すぐ左手に控えている受付カウンター周りです。貼る面積が大きかったため、シートを2枚に分けています。全体のバランスを見ながら、つなぎ目がわからないように施工しました。

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7D6A2173_e▲ 突き板の境目をパテで埋め、平滑にする下処理の様子

befor_after▲ 左:リニューアル前、右:リニューアル後(背面が錫箔シート、手前のカウンターが黒銀箔)

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受付カウンターまわりでは、中川ケミカルが提案したアートワークも採用されました。45cm角のアルミ複合板に箔シートを貼ったもので、とても軽く、マグネットで容易に脱着が可能です。箔シートを含むマテリオシリーズで複数枚用意したので、季節ごとに取り替えもできます。

カウンター席の右側の壁にこれより大きなサイズのアートワークがありますが、こちらは店のスタッフが切り貼りしてつくったものです。誰でも簡単に扱えるのが、箔シートの特徴であり大きな魅力です。

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本物の金属箔が作り出す上質の空間

クライアントに求められた空間に仕上がった今回のリニュアール。カウンター席では予想以上の効果がありました。
上の写真、向かって右側の収納キャビネットに注目してください。錫箔シートで仕上げた部分が上と下とで色味が違って見えませんか? 実際の空間でカウンター越しに眺めても、下は錫の色とわかりますが、上の棚の扉はやや黄みがかって見えます。

7D6A2332_ee▲ 錫箔シート。あたる光の角度や色味によって見た目が微妙に”変化”する

「日本料理店 斗南(となみ)」のカウンター空間の場合、照明の光が、椋の一枚板に反射し、赤みを帯びた光錫箔シートをほんのりと照らすことで、キャビネットの上と下とで違った色味に見せています。

seisaku01▲ 熟練の技を要する箔押し。繊細な手わざが美しさとなってあらわれる

素材の”色ムラ”は多くの場合で敬遠されますが、箔シートでは逆にオリジナリティーとなり、魅力を増します。
本物の金属箔をつかっている箔シートは、箔 1枚1枚の表情も違います。光の当たり見る角度によって色味も微妙に”変化”し、空間としてのディティールを感じさせてくれるのです。

 
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ゆったりと7席が用意されたカウンター席では、お客さまの目の前で料理人が包丁をつかい、盛り付けも行ないます。訪れたお客さまは、かつおだしのいい香りに包まれつつ、旬の食材が揚がるジュッという油の音や、料理人との会話も楽しみながら、五感で料理を味わいます。

0001▲ 旬の食材をつかった心づくしの料理。

料理人のきびきびとした立ち居ふるまいと、彩りも豊かな料理とが一体となった饗応空間に、箔シートが寄り添うことができたのではないでしょうか。今回の事例は店側のご厚意により、特別にご紹介させていただきました。

 
 
日本料理店 斗南(となみ)
http://www.ds-miyashita.jp/tonami.html
中川ケミカル マテリオシリーズ
http://www.nakagawa.co.jp/product/materio/index.html

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